The original English article here by Sarah Delahaye.

Translated by Ryoko Inoue

Edited by Yoshihiro Norikane and Toru Yamamori

普遍的なベーシックインカム(UBI)が私たちの社会をより良い方向へ変化させてくれるのではないかと考える人が、ますます増えている。しかし、どうすればベーシックインカムを導入させることが出来るのだろうか?最近ドイツでは、ベルリンに拠点を置く「探訪ベーシックインカム」という団体が、大規模な全国キャンペーンに乗り出した。というのも、国家によって費用が負担され、研究者たちが評価に参加する、10,000人規模のUBI実験を始めるためである。これまで50,000人を超える人々が、そのキャンペーンのウェブサイトに登録している。

「探訪ベーシックインカム」は、2月の終わりに「Bring Basic Income To The State」というキャンペーンを開始し、「探訪ベーシックインカム」のウェブサイトやメーリングリスト、ドイツのUBIコミュニティに属する諸団体、ソーシャルメディア、新聞などを経由して、全てのドイツ市民に向けてとある質問を拡散した。

あなたの住む市や自治体に、全国的なUBI実験に参加してほしいですか?

全てのドイツ市民は、「探訪ベーシックインカム」のウェブサイトに登録することで上記の質問に回答することが出来る。「探訪ベーシックインカム」は、住民の少なくとも1%が関心を示すところならどこでも、その市や自治体がUBI実験に参加出来るようにするため、住民投票を始めるようにしている。全ての「実験都市」全体が、世界的にも類を見ないベーシックインカムについての実験室であると考えることが出来る。

科学的アプローチによるUBIに関する貴重な洞察

「探訪ベーシックインカム」の計画によると、10,000人のドイツ市民が2023年から3年間、毎月約1200ユーロのベーシックインカムを受け取ることになっている。この実験では、「探訪ベーシックインカム」はドイツ経済研究機関(DIW)やフライブルク大学ベーシックインカム研究機関(FRIBIS)を含む、ドイツの名高い研究パートナーと連携している。というのも、様々な異なる形での無条件ベーシックインカムにおける結果、受入、実現可能性について分析するためである。また、そこではUBIの資金調達に関する実証的事実についての調査も行われる。

その研究から得られる科学的所見と考察によって、普遍的なベーシックインカムが人々や地域社会に与える影響について、将来的にはるかに議論しやすくなるだろう。理想的に言えば、ベーシックインカムの資金調達が出来るかどうかはもはや問題ではなく、導入を前提に、どのようにしてベーシックインカムを可能にするのかが問題となるのだ。

人々の力がキャンペーンの鍵

「探訪ベーシックインカム」は2019年に、UBI支持者であるJoy Ponader氏とLaura Brämswig氏によって創設された。彼らの目標は、ドイツで初の公的融資によるUBI実験を、ベーシックインカムに熱中していたり関心を持っていたりする全ての人々と共に、始めることである。今回の全国キャンペーンが彼らの初めての試みというわけではなく、以前から「探訪ベーシックインカム」は同様の取り組みをドイツの首都であるベルリンを含むいくつかの州で始めており、ベルリンでは2020年の秋に、地域実験に対して30,000人以上の市民の署名が集まった。

ドイツの市や自治体の住民は、キャンペーンの前線でもあり中心でもある。インターネット上の呼びかけに加えて、市や自治体で、自発的に住民投票を計画するような地元のボランティアチームが形成されるようになるだろう。共創的な参加プロセスの中で、ドイツ市民は実験の企画に参加するようにもなるだろう。この実験方法はこれまでにない革新的なものである。というのも、これまでほとんどの実験は政府か民間組織によって始められていたからである。この「探訪ベーシックインカム」のキャンペーンは、住民投票を用いた公的融資による実験を開始した初の事例である。

もしこのキャンペーンに関心があるようなドイツ市民を知っていたら、この記事もしくは下記にある我々のウェブサイトを共有してほしい。
https://expedition-grundeinkommen.de/!

もっと知りたい場合は、こちらのビデオキャンペーンを見てください。
https://youtu.be/Q2L9gYJOQDg 
https://www.youtube.com/watch?v=T3Yi__wWViM