The original English article is here by Brigitta Scheepsma.

Translated by Rintaro Hayashi

Reviewed by Yoshihiro Norikane and Toru Yamamori

オランダのレーワルデンに生まれた芸術家、ピーター・クーイストラ(Pieter Kooistra,1922-1998)はより善い世界の実現についても考えていた。クーイストラはクンストアートレーン(Kunstuitleen,アートレンディングプロジェクト。)を設立し、ベーシックインカムを提唱した。オランダの報道会社であるフリスロンドック(Fryslân DOK)の『不可能を考えろ』では、製作者のアンネ・ファン・スラフレン(Anne van Slageren)がクーイストラの人物像を描き出す。クーイストラが20世紀終わりに提唱した理念は、今日でも議論の的となっている。

「現実的であれ。不可能を考えろ。」これらはクーイストラの言葉である。クーイストラは世界中の不平等な富の分配、そしてこの地球という惑星の破壊を食い止めたいと考えていた。「クーイストラには先見の明がありました。」と話すのはネイアローデビジネス大学(Nyenrode Business University)のアンネミカ・ルオヴェク(Annemieke Roobeek)だ。インドで飢餓に苦しむ子供たちの写真を見て、クーイストラは自身が「精神的なもの」であると描写する芸術は、「実体的なもの」なしでは成しえないものであると理解した。彼はその人生の最中に、ベーシックインカムの世界中での普及に思い至った。経済学者であるアンネミカ・ルオヴェクは、「全ての人類に対するベーシックインカムは、私たちの目の黒いうちに実現されるでしょう。」と予想している。彼女はベーシックインカム普及の役割を果たすのは欧州中央銀行だとも考えている。

フリスロンドックの『不可能を考えろ』ではティーチャスタラグディアル市(Tytsjerksteradiel)のフルンリンクス(オランダ緑の党)代表、ブリフィタ・スペイウシュマ(Brigitta Scheepsma)がクーイストラとその理念を探求する。クーイストラの制作の地であったVeerhuis aan de Waal in Varikで、彼女はクーイストラの理念を遺したいと考えるヘンリー・メンティンク(Henry Mentink)と出会う。スペイウシュマはクーイストラがオルタナティブの芸術村としたTerschellingを訪れる。伴侶であったトリス・ニコス(Trees Niekus)は、この情熱的なクーイストラという男について、「誰も彼を止めることはできなかった。」と語った。

このドキュメンタリーは2020年10月17日、18日のオランダのテレビで放映された。(字幕については歯車をクリック。)