The original English article here by Serkan Simsir.

Translated by Rintaro Hayashi

Edited by Yoshihiro Norikane and Toru Yamamori

セルカン・シムシル(Serkan Simsir )| 2021/4/27| 特集、ニュース、主張

 循環可能な経済システムの研究が進むにつれ、ベーシックインカムと循環可能な経済の関係も認識され始めた。例えば、2019年7月23日にベーシックインカム・ネットワーク・スコットランドのウェブサイト上にて公開された、『どのようにしてベーシックインカムは循環可能な経済の実現に寄与できるのか?』という題の記事で、両者の関係性は考察された。実際、この記事はベーシックインカム・ネットワーク・スコットランドの編集者であるティモシー・アーモア(Timothea Armor)とゼロ・ウェイストの顧問でありゼロの創立者であるテジャ・ハドソン(Teja Hudson)の対談の記録に基づいている。

 近年の資本主義、自由放任市場、そして飽くなき成長。ハドソンによると、これらは私たちから社会に対する希望を奪う。世界をより善い場所にしようと志す多くの人々がいる。しかし、この失望が彼らをただ生きることのみへと藻搔かせるのだと彼女は指摘する。故に、私たちは、貧困・飢餓・疫病・性差別・迫害・暴力・教育の不足といった解決可能な社会の不平等のために、幾多の優秀で創造的な精神を失ってしまったと彼女は主張する。最後に、私たちは社会の変革を必要としている。そして、これらの人々はその変革を導く、未だ栓切られていない蛇口なのだと彼女は示した。

 ハドソンの主張に付け加えると、人がストレスにさらされたとき、重圧の下に置かれたときまたは何者にも触発されないとき、そして特にお金の心配をしているときに、創造的であることは非常に難しいのだ。この結果として、多くの芸術家や創造的な人々が、生活のために稼ぐことの必要性によって、芸術を熟練させるための活動を邪魔されている。ハドソンはベーシックインカムがこの問題に貢献するだろう可能性を次のような主張でまとめた。「これが、ベーシックインカムが私たちにもたらす未来像です。」ベーシックインカムの実現によって、破滅に陥る代わりに、経験を積んだ創造的な人々や自由な思想家や問題解決者が、この小さな星で暮らす100億の人々が抱える問題を解決するために身構えることができる、と彼女は主張する。

 ハドソンによれば、循環可能な経済とは我々の惑星に存在する資源を見つめ、全てが直線ではなく、円環の枠組みの中にあることを理解する方法である。循環可能な経済の目標は、可能な限りこの円環の中で循環する資源を維持し、未使用の原材料の使用を最小限に留めながら生産過程における効率を最大限にすることなのだと彼女は信じている。

 ベーシックインカムと循環可能な経済の関係に潜む可能性に関して、ハドソンは以下のように指摘する。環境的懸念と社会的懸念は非常に密接に繋がっている。また、ベーシックインカムと循環可能な経済、両者の目標と価値観は同じ、「人類とこの惑星が共に生存し繁栄するために、循環可能な経済を成し遂げるための環境運動を支えるものは、ベーシックインカムを成し遂げるための社会運動の支えともなる。逆もまた同様である。」ハドソンはこの2つのシステムが共に稼働することがより効果的で、資源と享受者を同時にもたらすと主張する。

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Toru Yamamori is a professor at Doshisha University, Kyoto, Japan.